週4日勤務というと聞こえはいいですが、すべての人に当てはまるわけではありません。ワークライフバランスの管理は、いつの時代も難しいものです。しかし、労働者の権利に対する関心の高まりと、テクノロジーの進歩によって、抜本的な変化が起きています。特定の分野ではそれほど多くの労働時間を必要としなくなり、世界的な傾向として週4日制へ移行しつつあります。
週4日制の概念はここ数年、商業界と政界からも支持されています。COVID-19の大流行で働き方が大きく変わったため、ロックダウンや失業などの問題を解決するために、週4日制に頼る人も出てきたのです。
週4日制とは?
米国の平均的なフルタイムの労働時間は、1日8時間、週5日です。もし週4日制に移行した場合、週40時間の勤務は変わらず、1日10時間の勤務を4日間行います。全員を週4日勤務にしなければいけないわけではなく、社員の希望や会社の必要性に応じて決めることができます。
週のうち3日を休みにするために、月曜や金曜に休みを取る必要はありません。ビジネスのニーズや従業員の好みに応じて、任意の日を選択することができます。
給料はどうなるのか?
週4日勤務であっても週の合計が40時間であれば、給与所得者や上級一般職の方の支払いには影響しません。一方で、残業の権利を持つ一般職にとっては週4日勤務は難しい場合があります。残業の基準は州ごとに異なり、サテライトオフィスや遠隔地に従業員がいる企業では、残業代の支払い対象になるかを確認する必要があります。
カリフォルニア州およびその他のいくつかの州では、1日に8時間以上働いた従業員に残業代が支給されます。つまり、カリフォルニア州で週4日勤務の場合、一般職は週に32時間の通常賃金と8時間の残業代を得ることになります。
長所と短所
報告によると、従業員は業務目標を達成するために熱心に取り組み、達成すると追加の休日が与えられていました。これにより、従業員の士気が高まるのはもちろんのこと、より良い仕事のやり方を創出し、仕事の時間を無駄にしなくなったとのことです。また、マネージャーからは、社員がよりダイナミックになり、出社率が上がり、時間を守って早退や休憩時間の超過がなくなったとのことです。
この研究は、これまで多くの人が疑問に思っていたことを証明しています。つまり、生産性は時間ではなく、気持ちの影響を受けるということです。従業員のマインドセットも一役買っています。
週4日制はますます一般的になってきています。その理由は簡単で、労働者は追加の休日を得ることができ、雇用主はよりリラックスした状態でチームを活性化させることができるからです。しかし、メリットだけではなく、デメリットについてもよく検討する必要があります。
長所
メリット1. 生産性の向上
休みを取った日を補うため、仕事の生産性が上がります。ニュージーランドのある企業では、週4日制のパイロットスタディを行いました。その結果、従業員は同じ生産性レベルを維持し、仕事のパフォーマンス、協調性、ワークライフバランス、会社への貢献が向上しました。また、従業員のストレスは45%から38%に減少しました。
ノルウェー、デンマーク、ドイツ、オランダなど、世界で最も生産性の高い国の平均労働時間はおよそ週27時間です。これは英国で週4日制を提唱している時間と同じであることを考えると、この結果は驚くべきものではありません。別の実験では、日本マイクロソフト社が2019年に週4日制を試験的に運用したところ、生産性が40%向上したとのことです。
メリット2. 仕事から離れる時間を減らす
休みが増えると、健康診断や買い物なども休みの日に行うようになります。週に一度、個人的な用事を済ませることができれば、仕事中の離職時間は最小限に抑えられます。
メリット3. カーボンフットプリントの最小化
労働時間が短い国は二酸化炭素排出量が少なくなるため、労働時間を週5日から週4日に短縮することで、環境改善にもつながります。週4日制にすることで通勤時の排気ガスも減り、従業員一人ひとりの二酸化炭素排出量が大幅に削減されます。
メリット4. 従業員のエンゲージメント向上
従業員は、十分に息抜きをして元気を取り戻すことができるので、不安を感じたり、病気で休暇を取ることが減ります。その結果、従業員はリフレッシュして職場に戻り、新たな課題に対処できるようになります。
生き生きとした社員は、ストレスが少なく、ワークライフバランスがとれているため、自分の仕事により深く関わり、意欲的で創造的になります。
メリット5. 失業率の低下
企業は、1人分の枠を複数人で埋めるジョブシェアリングというやり方で、空いた時間を新規採用でカバーすることができます。さらに、従業員、特に若い従業員は、仕事の柔軟性を重視しています。最近の調査によると、Z世代の人々は、仕事を選ぶ際に医療保険よりも仕事の柔軟性を優先しています。
欠点
デメリット1. 顧客サービスへの影響
お客様や取引先は、営業時間外に相談しても回答をもらえないと理解しています。しかし、平日の日中に問題が発生した場合は違います。問題を解決するためには、会社の誰かが対応しなければなりません。得意先を十分にカバーするためには、すべての部署において、綿密な休日取得計画が必要です。
チャットボットのようなテクノロジーを利用して別のサポートを提供することで、お客様がオフィスにいるスタッフに従業員に頼らず、顧客満足度を向上することができます。
デメリット2. すべての業界には適合できない
中には24時間体制を求められる業種もあり、週4日制は実現できない場合があります。さらに、オフィス不動産などの業界では人が仕事をしていることでビジネスが成り立っています。ワーカーが休みを取ると置き換えができません。
デメリット3. 長時間労働
勤務10時間というシフトは長く、すべての従業員がそれに耐えられるわけではありません。さらに、1日10時間以上働くことは、従業員の健康に悪影響を及ぼすことがわかっています。オランダで行われた調査では、150万人が長時間働きたくても働けないという結果が出ています。
まとめ
今後私たちは、仕事の将来について、また、従業員の福利厚生をどのように保護しサポートするかについて、重大な決断をする必要があります。
週4日制はテクノロジーの進歩により、企業として通常通りの業務を行うことができるため、実行可能な選択肢のひとつです。同時に、従業員はワークライフバランスのとれた充実したキャリアを歩むことができます。
今後の展開を見守る一方で、今がその検討を始める絶好の機会です。勤務時間の短縮に興味があれば、自分の組織で期間限定で試してみるとよいでしょう。チームが少ない労働時間でより多くのことができるかを確認してみてください。